
予備校の世界から見た教育論
大手予備校の河合塾に長年勤務した経歴を持つ筆者が、予備校という
世界から見た教育論を展開したものである。
予備校という世界は、普通の学校教育ほど多くの生徒が学ぶ世界では
ないし、保護者面談や行事等も基本的にはない(少ない)点で、保護者の
目からも不透明な部分が多い。いわば、予備校に通っている学生や浪人生に
特化した特殊な世界ともいえる。
そのような特性を持つ予備校の内部をしっている筆者から描く世界は、
非常に新鮮なものであり、予備校という不透明な世界を明るみに出して
くれる点で、興味深い。
本書の内容としては、タイトルからすると学校教育の批判をした上で、
予備校の教育がこれからの教育界を救うという内容かと早合点してしまうが、
予備校内部の視点から見た、皆にあまり知られていない予備校の実態、
学校教育について、そして大学について自論を展開している。
また学校教育については、決して批判的ではなく、最近は大学入学等の成果を
数字で求められ、教科の本質を教えることができない実態になっている、
という同情的な意見さえ述べられている。
予備校ばかりを持ち上げるのではなく、穏やかな論調で進んでいく本である。
予備校の内部世界を垣間見たい人には興味深く読める本である。
ただ、筆者のプロフィールで、河合塾に勤務と出ているのに、本書の中では、
「私の勤務していたK予備校」と固有名称を挙げないのはなぜだろ...